「どっしりした書き味」は長所か負担か、モンブランのボールペンと仕事道具の選び方を考える

 「どっしりとした書き味」という言葉を見たとき、これは褒め言葉なのか、それとも使う人を選ぶ注意書きなのか、一瞬迷った。ペンの重さは好みがはっきり分かれる要素で、軽くてさらさら書けるペンが好きな人にとっては、重いというだけで候補から外れることもある。今回参考にしているのは、神谷 龍さんが仕事道具として挙げている持ち物の紹介で、デスクで何かを書き起こすときにモンブランのボールペンを「マスト」だと語っている。私自身がこのペンを使ったわけではないので、書き味の実際をここで語ることはできない。それでも、「どっしり」をあえて選ぶ理由には、考えてみる価値があると思った。


ペンの重さが書き味に与える影響は、一般論として、重みがあると筆圧が安定してゆっくり丁寧に書きやすく、反対に長時間書き続けると手首や指が疲れやすい、と言われている。神谷さんの使い方は「何かを書き起こす」場面で、アイデアを整理したり、メモを残したりする時間のようだ。大量の文字を書き続けるための道具ではなく、考える時間を整えるための一本、という位置づけなのだと思う。どっしりした感触は、速さより落ち着きを引き出してくれるのかもしれない。ただし、素材や具体的なモデルは紹介に書かれていないので、金属か樹脂かといった細かな話には踏み込まない。



ここで比較の軸を一つだけ置いてみる。軽くて安価な日常用のボールペンと、重みのある高級ボールペン、どちらを選ぶかという単純な話だ。日常用は、なくしても惜しくない気楽さと軽い書き味が強みで、外回りや会議でも気兼ねなく使える。一方、モンブランのような一本は、机に向かうときの気持ちを切り替えるスイッチになる。どちらが優れているかではなく、「道具に気分の切り替えを担当させたいかどうか」の違いだと思う。私なら、毎日ガンガン使う用には前者を数本、ここぞという場面のために後者を一本、と役割を分けて持つ。


紹介の中で、私がいちばん好きなのは木製のホチキスだ。


アンティークショップで見つけたもので、2年ほど愛用していて、紙の留め心地が良く、ちょっとしたストレス解消になるのだという。これは効率や機能の話というより、愛着の話だと思う。アンティークは一点物で、同じものを新しく探すのは難しい。だから、真似して買うという選び方には向かない。むしろ、骨董店をのぞいて自分にしっくりくる道具に偶然出会う、その過程ごと楽しむものだ。道具に物語があると、毎日の地味な作業が少しだけ楽しくなる。そういう価値は、価格表には載らない。


とはいえ、批判的な目も忘れないでおきたい。木製のホチキスは、大量の書類を毎日留める職場では、現実的ではないかもしれない。一般論として、古い道具は針の規格が今の主流と合わないことがあるし、留められる枚数や状態も個体によってばらつきが大きい。「ストレス解消になる」という感覚は素敵だけれど、それは効率とは別の話だ。私なら、メインのホチキスは現行の信頼できるものを使い、木製は机の上に置いて、ここぞというときに手に取る相棒にする。役割を分けておくと、愛着と実用が喧嘩しない。


バッグまわりに目を移すと、メインはヴィンテージのニュースペーパーバッグ一択で、軽くて丈夫、何でも気兼ねなく入れられるのが理由だという。ヴィンテージ品は、新品にはない経年の風合いが魅力だ。ただ、同じ型でも状態は一つひとつ違うので、買う側はコンディションを見極める目が要る。そして、ストラップ部分にクロムハーツのミニバッグを付けて、イヤホンなどの必需品をすぐ出し入れできるようにしている。大きなバッグの底をかき回さなくていい、という発想が実用的で、見た目の遊びと使い勝手が両立している。



クロムハーツのようなブランドのアイテムを選ぶなら、私は必ず正規の取り扱い店で買うべきだと思っている。シルバーの質感や細部の作りこそが価値の中心で、出どころが不確かなものでは、その価値を確かめようがないからだ。ミニバッグの素材や価格は今回の紹介にないので、ここでは触れない。ただ、「毎日触れる小さな道具」ほど、安心して長く使えることが大事だと思う。納得できる買い方を選ぶことが、結局いちばん満足につながる。


優先順位をつけるなら、私は一本のペン、次に机の相棒、最後にバッグまわりの工夫、の順で取り入れたい。ペンは、仕事の時間に気持ちを整える効果が期待できて、コストと効果のバランスが取りやすい。ホチキスは遊びの範囲で、バッグの工夫は自分の持ち物に合わせて調整すればいい。「いい仕事道具」とは、高いものではなく、毎日手に取りたくなるものだと、この紹介を読んで改めて思った。ここまではすべて公開された紹介文と一般的な見立てに基づいた話で、実際の使い心地は人それぞれだ。


もし、私のデスクに一本だけ足すとしたら、やはり重みのある一本のペンだと思う。朝、コーヒーを置いて、ノートを開き、キャップを外す。その一連の動作が、少しだけ背筋を伸ばしてくれる。そんな想像をしている。

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